こうへいブログ 京都案内と文章研究について  

京都観光案内 それをわかりやすく伝えるために奮闘する文章研究の日々

さりげなく、でもしっかりと気持ちを伝える評価副詞

あらかじめ、述語に対する書き手の気持ちを示すことで、文の内容の方向性を示す役割を持つ品詞を、文法用語で「誘導副詞」と呼びます。 「せっかく」「あんがい」「とうぜん」「あいにく」「もう」「ずいぶん」「さすが」といったように、誘導副詞は文頭に出…

レベルの異なるふたつのモダリティ表現  見分けることで文章構成が面白いように見えてくる

レポートや論文といった論説文タイプの文章は、具体的な事実の部分と書き手の意見・主張という部分に大きく分けることができます。 多くの場合、根拠となる具体的事実を材料として、書き手がそこで伝えたい主張を解説していくという構成になっています。 個…

本当の「悪文」 読みにくい原因はどこにあるのか

文章を読み進めていて、「ん?」と、1回で文が読み取れないことがあります。 ひと文が長くて、なかなか述語にたどり着けない場合によく見られるのですが、たいていそれは、長い連体修飾節が挟み込んで書かれていることが多いのです。 たとえば、次の例文は…

悪文の魅力  翻訳調の文体 それは洋画の吹替版

なんだか読みづらいけれど、我慢して読み続けるとひとつの味わいがでてくる。そういうタイプの文章は、ある意味「悪文」と呼ばれます。 もちろん、そこには独特の魅力があるわけで、それはそれで、一個の文体となっています。 そんな読みごたえのある「悪文…

自然と人間との対比を描く散文の骨法  空気を支配する描写力

主人公の心理描写と外界の情景描写をつなぎ合わせるために、主体の表現位置を明確に示す。 それが小説物語を展開していく上で最も有効的な手法だいうことをこれまで学んできました。 主体の自己位置が表現され、外界はそれとの関係において表現される。その…

謎解き型文章の作り方  

ある名詞の内容を豊かにするために、名詞の前に埋め込まれた節を連体修飾節と呼びます。 たとえば、 Ⓐ私は、3年前に海岸沿いの小さな街で律子と出会った。 という動詞文から派生するのが、 Ⓑ私が3年前に海岸沿いの小さな街で出会った律子。 という「律子」…

文章の展開において最も重要な推進力はなにか  どうすれば読者を引き込むことができるのか

文の集合体である「文章」。それは、大きくふたつのタイプに分けることができます。 まず、ひとつは描写型の文章で、小説やエッセイなどに典型的に見られることが多く、ある場面のなかで誰かの視点をとおして描かれていくという特徴を持つ形になります。 も…

外界描写と心理描写  主体の表現位置がそのふたつをつなぐ

今回も、文章における「主体の表現位置」について考察していきたいと思います。 表現主体の自己位置を厳密に示すことによって、その作品の世界観は読者にスムーズに伝わる、というのがこれまでに見てきた論理でした。 わかりやすく見るために、ひとりの学生…

9月半島 主人公の心柄と自然世界が融合する見事なその描写

「詞」と「辞」の関係、それは、「客」と「主」という関係に言い変えることができます。 「詞」は「主体」の向こう側にあり、「辞」は「詞」のこちら側にあります。 そこには、あちらとこちらという相関関係があるんですね。 たとえば、「果てしない青さが広…

作者と読者の視点が同化するとき  作家たちが獲得しようとした新たな文学表現とは

今回も文章読本「ことばの藝術」を手引きにし、「表現主体の位置」について、さらに深く掘り下げていきたいと思います。 ときは明治初期、「言文一致」という、言語表現の変革の嵐が吹き荒れました。 「言文一致」、つまり、話すように書いて言と文を一致さ…

見るもの 見られるもの 表現主体の位置を読み取る

文章構成の本質は、その対比構造のありように潜在しているのだということをこのブログでは繰り返し述べてきました。 「詞」と「辞」、「客体」と「主体」、「事柄」と「陳述」、「ます」と「です」といったように、その相対するふたつの関係が文章を構成し、…

小説における詞と辞、辞と辞の関係  融合する表現位置

国語学におけるパイオニア的存在と名高い言語学者・時枝誠記(1900―1967)。 時枝言語学の核と呼ばれているのが、世に広く知られた「詞辞論」です。 時枝はまず、ひとつの「文」を題材とするなら、それは「詞」と「辞」の結合によって構成されている…

動詞に寄りそい奥行きを与える究極の副詞 オノマトペ

「自動車がブィ―と発進し、まがり角でキキキィ―ときしむ。ドアがチャッと開くと、銃を構えた男がタッとおりてきて、ドキューン、ズキューンと銃弾を撃ち放つ。銃弾はビルの窓ガラスをビシッと射抜き、標的の額にズバッと、めり込んだ」 音そのものと、その音…

くっつき張り付き その名詞を動詞に変えてしまう「する」

サ行変格活用という独特の活用変化をする動詞「する」。 この「する」という言葉は、日本語の動詞の親骨ともいえる存在なのですが、和語だろうと、漢語だろうと、お構いなしに、あらゆる名詞にくっつき張り付き、その名詞を動詞に変えてしまうんですね。 「…

述語が構成素を統叙することができない日本語文は存在するのか 

前にある構成素を述語がまとめ上げるという日本語の仕組み。それは、「述語の統叙」と呼ばれています。 Ⓐその途端、裕子は、はっきりと男の顔を思い出した。という例文の場合、 その途端 思い出した 裕子は 思い出した はっきりと 思い出した 男の顔を 思い…

日本語の名詞的性格 補足

前回の記事で、日本語の動詞というのは名詞的性格を秘めているという話をしました。 たとえば、ひとつの視点として、動詞の他動詞と自動詞の区分に注目して見てみると、理解しやすくなると思います。 まず英語の場合、文の主要語は主語であり、その後すぐに…

日本語の名詞的性格  連体修飾節を使うことで文章はスラスラと書きやすくなる

日本語の核となっているのは述語であり、補足する構成素が述語の補語として加わり、次々と意味を限定していきます。 「述語の統叙」と呼ばれるこの働きは、述語の優位性を示していて、日本語の中心に位置するのが述語であることを裏付けています。 英語とは…

もの凄い速さで流れていく描写表現 どうすればこんな文章が描けるのか

物事を具体的に、直接的に表現する働きをそなえた副詞を、文法用語で擬音詞(オノマトペ)と呼びます。 円顔といえば「ふっくら」、血が垂れるといえば「ぽたぽた」で、鶏といえば「コケコッコー」といった感じでしょうか。 オノマトペを使った副詞表現は、…

日本語の3大動詞「ある」「する」「なる」 それは大きなひとつの流れ

日本語の3大動詞と言われているのが「ある」「する」「なる」という3つの形式動詞です。 ほとんどの動詞はこの3つの言葉に置き換えることが出来るのですが、意味によって分類すると、存在をあらわす「ある」、行為や作用をあらわす「する」、過程や状態の…

流れるように一息で読める文はどんな構成で作られているのか

1978年に初刊が発行され、超ロングセラーとなった、岩波新書「日本語の文法を考える」。 文学博士・大野晋氏が古典的事実をもとに現代日本語の新しい文法の体系を探求した究極の一冊です。 古本店やブックオフにいけば今でも棚に並んでいることが多いの…

パラレリズムの響き 読点「、」で区切られた文節

歯切れのよいスッキリした文章を書くのに最も有効的なのがパラレリズムによる繰り返し表現です。 「見たり、聞いたり、試したり」とか、「北は北海道から南は九州まで」といった表現は口調がよく、リズムも感じとることができます。 大ベストセラーとなった…

文章表現における心地よいリズム感はどのようにして生まれるのか

国語におけるリズム形式の美調とはなにか、国語学者の時枝誠記の著書である「国語学原論」のなかに、詳しく述べられている箇所があります。 リズム形式というと、一般的には音声の強弱における構成がイメージされます。 タン、タ、タン タン、タ、タン タン…

三十三間堂 天部二十八部衆と風神・雷神像  悪魔のチカラ身に着けた正義のヒーロー

イメージされる無限の観音像 文永3(1266)年の再建から750年、その姿を保ち続ける奇跡の宗教建築、蓮華王院・三十三間堂。 お堂に安置された千手観音によって守られ続けてきました。 中央に鎮座する丈六の千十観音座像を本尊とし、その脇侍の左右に…

文章に余韻をのこす魔法の言葉

以前、このブログでは、「のだ(んだ)」という言葉は「焦点」を示す表現なので、そこに「前提」がないと使用出来ないんだと言うことを述べました。 「のだ」は「焦点」、つまり「答え」を伴う表現なので、それまでに「問い」となる「前提」が話題に上がって…

プロの文章に学ぶ「です」と「ます」の「あ・うん」の呼吸

文章展開というのは「前提」と「焦点」が繰り返されるもの、一定の「問い」を示してそれに「答え」ていくものだと、このブログでは繰り返し説明してきました。 たとえば、 Ⓐ私は、正直言って、呼ばれたから田辺家に向かっていただけだった。Ⓑな―んにも、考え…

形式名詞や形式動詞が日本語ではなぜ多用されるのか   「です」と「ます」の使い分け

このブログで何度か取り上げて説明していますが、日本語の文というのは、たった3種類しか存在しません。 Ⓐ薄っぺらのボストンバック、北へ北へと、向かった。 動詞述語文 Ⓑ人は悲しい。 形容詞述語文 Ⓒ長崎は今日もどしゃ降りの雨です。 名詞述語文 そして…

「前提」と「焦点」 それは繰り返される主題展開

テレビドラマなんかで、作家が机の前で原稿を書こうとしていて、最初の出だしがなかなか思いつかなくて苦悩している場面を見ることがよくあります。 「最初さえうまく書き始めることが出来たら、後は流れるように進めることができるのに」そんなセリフが聞こ…

通販番組でここぞというときに使われる「分裂文」 最後に提示される指示対象

引き続き、今回も「のだ」に関連する名詞述語文を考察していきたいと思います。 名詞述語文には、「分裂文」と呼ばれる特殊な文が存在します。 動詞述語文や形容詞述語文を名詞述語文に変換させた表現なのですが、たとえば、 Ⓐ裕子が、トランペットを手に入…

名詞化とはどういうことか? 「要するになに」「言い換えればどういうこと」

前回のブログでは、文末に「のだ」をつけて表現するには一定の条件が必要なのだということを説明しました。 「のだ」を使う場合は「前提」が必要となり、その前提の答えとなる「焦点」に対して「のだ」は付随するんですね。 今回はその「のだ」が文法的にど…

「のだ」とはなにか? そこに答えがあるのです

日本語の文は基本的に述語に助動詞が足されて終わるのですが、ときに、「のだ」「のです」という言葉で括られる場合があります。 この「のだ」という形式は非常に頻繁に使われます。 「買ったんです」の「んだ」も「のだ」とまったく同じ意味合いで、話し言…