こうへいブログ  京都案内 そして スラスラと流れるような文章が書けるようになりたくて

京都観光案内 その裏に隠された物語のご紹介と、それをわかりやすく伝えるために奮闘する文章研究の日々

伝えたいことは決まっているのになかなか書き出せない そんなときはどうすればいいのか

パラグラフとトピックセンテンス 文章教本としては、異例のロングセラーとなった木下是雄著「理科系の作文技術」。 物理学者の木下氏が、理科系の若手研究者や学生を対象として、論文、調査報告者といったレポート作成のための最も効果的な表現法を具体的に…

文の締めくくりは複合動詞で表現する  あなたの書いた文がまるで「他人ごと」のようにならぬように 

血が通わない言葉 鋭い風刺とあふれるユーモア、言葉の魔術師と呼ばれた日本の小説家、井上ひさし氏。 「言葉を作ったのは人間なのだから言葉は楽しく使うべきである」という持論をもとに、戯曲、小説だけでなく、数多くの文章読本、文章入門書の書き下ろし…

「話すように書け」は本当か? 会話を描写する難しさ

おしゃべりを字で書こう 書店にズラリと並べられている文章入門書。手に取り、パラパラとめくってみると、全容はさまざまなのでしょうが、どの入門書にも申し合わせたように、巻頭の部分あたりで「ある教え」についてページが割かれています。 【話すように…

どうすれば読者をその記事に夢中にさせることが出来るか 

文章を読ませる推進力 たとえば、ブログなどに記事を書くとします。どうせ書くのなら、その時に、どうすれば、読者をその記事に没頭させることが出来るか。どう書けば、読者を、読んでいるうちにその文章に引きずり込ませてしまうことが出来るようになるので…

桂離宮  儚き世に輝く 琥珀の月

月の色をもらって 京都市・桂川に架かる桂大橋。車を走らせ、その西岸から東を望むと、ときに、見事な満月に出会える夜があります。 そして、すぐ左にたたずむのが、宮内庁の管理する、あの「桂離宮」です。 こうして見ると、満月を遠望できる絶好のロケーシ…

金閣寺  取りもどされた その輝き 目もくらむ光

風雨にさらされた黄金 戦前の旧国宝・重要美術品の再指定が行われたのは昭和25年のことでした。 いわゆる文化保護法が施行されて、それまでに指定されていた真偽が見直され、大幅に件数が減らされることになります。 そんな状況下でも、当然のごとく金閣は…

奥津敬一郎 著「(ボクハ ウナギダ)の文法」 長い間抱えていた疑問を解き明かしてくれた一冊

常に例外がつきまとう法則 日本語の文法というのは本当に不思議なモノで、辞書のレベルでは決定しきらない例外が、それこそたくさん出てきます。 たとえば、次に出てくる文のような、動詞の格支配の例を見てみてください。 A)鯛を刺身に作る。 ?鯛を作る。…

東寺  そこにあるのはパラレルワールドだった

政教分離 794年に、国家権力の中枢として人為的につくり出された平安京。それは、政治的な意味を強く帯びた新政都市でした。 このとき同じタイミングで平安京に創建された東寺・西寺も、国家鎮護の目的だけで建てられたわけではなく、唯一この国で、公式…

二条城  平安京から生まれた京都市という都市の本質

公武和合の舞台 大坂夏の陣、冬の陣が始まる少し前の1603年頃に、幕府本営・二条城は完成しました。 徳川家が上洛する際の宿所として造営されたこの城郭から、家康は戦場へと出陣しているんですね。 その後、1626年に三代将軍・家光が後水尾天皇を迎…

長くても読みやすいセンテンス  因果関係を示す接続助詞で長文にクサビを打ち込む

事態はひとつの時間軸のなかで 今回は、複文の表現形式のひとつである「連用修飾節」の仕組みを紐解いていきたいと思います。 先行する連用修飾節には、それこそ様々な接続方法による表現形式があるのですが、基本的には、後行する文末の述語(用言)に向か…

複雑な文の流れを滑らかに結合させる潤滑油 それは抽象名詞と形式名詞

内の関係と外の関係 前回に引き続き、今回も連体修飾節を使った文章表現にこだわりながら、その本質を分析していきたいと思います。 たとえば、指にルビーの指輪をつけた(女優)という文を例にすると、名詞(女優)を詳しく説明・限定し、修飾しているのが(…

連体修飾節を駆使することが出来ればスラスラと流れるような文章が書けるようになる

長文を自由自在に 日本語における「複文」、つまり複雑な「文」というのは、いったいどのような構成で作られているのでしょうか。 一般に実用文では1文平均50文字が理想的な文字数だと言われてますので、1文100字を越すような「複文」になると、頭か…

「井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室」 味わい深い文章表現を分析してみる

文学の街 作家・井上ひさしさんの講義による「作文教室」が岩手県一関市で開かれたのは、1996年11月15日から17日にかけての3日間のことでした。 このとき、古く美しい建物を活かした文学館をつくろうという、一関ならではの趣旨のもと、「文学の…

文章の魅力的な書き出し②  記憶のなかから導かれる背景的状況

状況的枠組みの提示 作家やジャーナリストたちが雑誌記事やエッセイを書く場合、当然ですが、その紙面のスペースは限られています。 限られた紙面の中で簡潔に効率よく読み手に情報を伝えるために、彼らは冒頭の書き出しで、ある工夫をするそうです。 それは…

文章の魅力的な書き出し①  それは心地よいリズム感

早く問題の核心へと 仮に、名前も知らない人の論文やエッセイをあなたがこれから読もうとしているとします。 その文章の書き出しの印象は、まさに、初対面の人に会ったときの第一印象と同じような感覚がするのではないでしょうか。 たぶん、「魅力的な書き出…

首尾一貫しない文 ねじれた文を書かないようにするためのライティングイメージ

長いセンテンスは読みにくいか 世に市販されている文章表現の入門書、そのほとんどに、「文は短く、とにかく短く」と書いてあります。 わかりやすい文章を書くためにはとにかく短い文を並べろという「短文信仰」です。 短い文で纏めあげれば明晰な文章が必ず…

文章表現の本質 「つまり何? 言い換えれば何? 他でもない何? 要するにどういうコト?」

無言の読み手 文章表現という「書き言葉」は、会話コミュニケーションという「話し言葉」とは違って、あくまでも書き手からの一方的な伝達手段に過ぎません。 ですが、常に無言の読み手を意識し、対話を頭に想定しながら、言葉が紡ぎ出されていく表現である…

文章作成に役立つ  読み手に違和感をあたえることなく自然に話題を切りかえる書き方

有題文「は」と無題文「が」 日本語のセンテンスというのは、大きく二通りに区分けすることができます。 それは、名詞句に「は」がついて述べられる「有題文」と、名詞句に「が」がつく「無題文」というように大きく分かれるのです。 たとえば、 a ) 太郎は…

文章表現 それは究極の自問自答  パラグラフとトピックセンテンス

いつ改行すればいいのか 文章表現の入門書として空前の大ヒットとなった本多勝一(著)「日本語の作文技術」。 その第7章では、文章のなかにおける「段落」の本質とは一体何なのかということが、本田さん独自の視点で解き明かされています。 「段落」とは、…

文章表現のコツ  単調な繰り返しの文末表現を回避するにはどうすればいいのか

私たちがブログで文章を書くとき、ある避けて通れない問題があります。 日本語特有の現象といえるのでしょうか。あまり意識しないでいると、気が付けば、文末が単調になってしまっているという問題です。 いわゆるデス・マス調の丁寧体なら「す」、ダ・デア…

まちがいだらけの日本語文法  達意の文章が書けるようになるために②

前回に引き続き、町田健さんの著書「まちがいだらけの日本語文法」から、非常に参考になった文法理論をピックアップし、ご紹介させていただきます。 今回は、第四章『文の仕組みを説明してこそ文法だ』のなかの(「太郎は平泳ぎが上手だ」の主語は何か)とい…

まちがいだらけの日本語文法  達意の文章が書けるようになるために① 

今回、ご紹介する一冊は、名古屋大学名誉教授・町田健さんの著書「まちがいだらけの日本語文法」です。 町田さんによると、私たちが中学校などで教えられる「国文法」とか「学校文法」という授業内容において、記述の中身が不正確なことがあるだけでなく、説…

日本語基礎講座 三上文法入門  その裏に隠された真実

一般向けにわかりやすく解説 1952年、日本語文法にとってまさに画期的な論説と評判になった「現代語法序説」が世に出ました。著者は、当時の学界の異端児と呼ばれた三上章さんです。 文法学者として独創的な見解を示す三上さんは、その舌鋒鋭い議論の仕…

連体修飾節の投げ出し提示  文章の書き始めにつまづいたら

文章の書き出しに思わずつまづいてしまい、伝えたいことは決まっているのに、なかなか書き出せないことがあります。 そんな時に役に立つのが、連体修飾節の投げ出しによる主題提示です。 「京都市の西北部に建つ神護寺。それは、平安京が出現する少し前の天…

小麦色のマーメイド  書き手が最も伝えたい一文

同定文と記述文 前回は、「ガ」句と「ヲ」句という二つの「提示機能」を使った主題提示のあり方を説明させていただきました。 a)関取の中では、荒駒が、最も腰が強い。 b)私は教官の行動を不審に思った。 a)b)は共に、「他の誰でもない荒駒が」「他…

構造から見る日本語文法  「このクラスでは 岸田君が いちばん頭がいい」

ふたつの「ガ」 今回ご紹介する一冊は、言語社会専攻 教授 三原健一氏の「構造から見る日本語文法」です。 ここで書かれている理論のその特徴は、日本語の語彙論的な意味よりも、むしろ、「構造」に基盤を置いて言語を考えようと説かれている点にあります。 …

現代日本語の構造  テキスト全体の中から最も重要なセンテンスを選びだす方法

統一的な把握の方法 日本語における「複文」についての捉え方として、その考察が非常に有益であると評価されている二人の文法学者がいます。 一人は、前回紹介しました「象は鼻が長い」の著者である三上章さん。 そしてもう一人が、「文はどのような過程を経…

象は鼻が長い 三上文法  文という枠を越える言葉

主語廃止論 日本語の基本的な関係は「主語―述語」ではなく、「主題―解説」であるという考え方。 それは、日本の文法研究の発展に伴い、多くの学者たちに支持されるようになりました。 その理論を広く世に知らしめた存在が、高校の数学教師から国語学会へと転…

日本語の文法を考える  「桜の花は咲いている」「それがどうしたの」

現代日本語の研究の中で、これまで最も精力的に行われてきた論争とはいったい何か。 それには、「ガ」と「ハ」という二つの助詞を、どのように使い分ければいいのか、というテーマがあげられるといいます。 というのも、この「ガ」と「ハ」の使い分けは、日…

悪文  伝わる文章の作法 「人の世を作ったものは・・」  

前回に続き、文章表現の上達を目指して読み漁った本の中から、非常に有益だったと感じた一冊をご紹介します。 【「悪文」 岩崎悦太郎 編著】 伝わる文章の作法をテーマに、8人の著者の執筆による個々別々の章で編成された異色の文章読本です。 悪文 伝わる…