こうへいブログ 京都案内と文章研究について  

京都観光案内 それをわかりやすく伝えるために奮闘する文章研究の日々

日本語の名詞的性格 補足

前回の記事で、日本語の動詞というのは名詞的性格を秘めているという話をしました。 たとえば、ひとつの視点として、動詞の他動詞と自動詞の区分に注目して見てみると、理解しやすくなると思います。 まず英語の場合、文の主要語は主語であり、その後すぐに…

日本語の名詞的性格  連体修飾節を使うことで文章はスラスラと書きやすくなる

日本語の核となっているのは述語であり、補足する構成素が述語の補語として加わり、次々と意味を限定していきます。 「述語の統叙」と呼ばれるこの働きは、述語の優位性を示していて、日本語の中心に位置するのが述語であることを裏付けています。 英語とは…

もの凄い速さで流れていく描写表現 どうすればこんな文章が描けるのか

物事を具体的に、直接的に表現する働きをそなえた副詞を、文法用語で擬音詞(オノマトペ)と呼びます。 円顔といえば「ふっくら」、血が垂れるといえば「ぽたぽた」で、鶏といえば「コケコッコー」といった感じでしょうか。 オノマトペを使った副詞表現は、…

日本語の3大動詞「ある」「する」「なる」 それは大きなひとつの流れ

日本語の3大動詞と言われているのが「ある」「する」「なる」という3つの形式動詞です。 ほとんどの動詞はこの3つの言葉に置き換えることが出来るのですが、意味によって分類すると、存在をあらわす「ある」、行為や作用をあらわす「する」、過程や状態の…

流れるように一息で読める文はどんな構成で作られているのか

1978年に初刊が発行され、超ロングセラーとなった、岩波新書「日本語の文法を考える」。 文学博士・大野晋氏が古典的事実をもとに現代日本語の新しい文法の体系を探求した究極の一冊です。 古本店やブックオフにいけば今でも棚に並んでいることが多いの…

パラレリズムの響き 読点「、」で区切られた文節

歯切れのよいスッキリした文章を書くのに最も有効的なのがパラレリズムによる繰り返し表現です。 「見たり、聞いたり、試したり」とか、「北は北海道から南は九州まで」といった表現は口調がよく、リズムも感じとることができます。 大ベストセラーとなった…

文章表現における心地よいリズム感はどのようにして生まれるのか

国語におけるリズム形式の美調とはなにか、国語学者の時枝誠記の著書である「国語学原論」のなかに、詳しく述べられている箇所があります。 リズム形式というと、一般的には音声の強弱における構成がイメージされます。 タン、タ、タン タン、タ、タン タン…

三十三間堂 天部二十八部衆と風神・雷神像  悪魔のチカラ身に着けた正義のヒーロー

イメージされる無限の観音像 文永3(1266)年の再建から750年、その姿を保ち続ける奇跡の宗教建築、蓮華王院・三十三間堂。 お堂に安置された千手観音によって守られ続けてきました。 中央に鎮座する丈六の千十観音座像を本尊とし、その脇侍の左右に…

文章に余韻をのこす魔法の言葉

以前、このブログでは、「のだ(んだ)」という言葉は「焦点」を示す表現なので、そこに「前提」がないと使用出来ないんだと言うことを述べました。 「のだ」は「焦点」、つまり「答え」を伴う表現なので、それまでに「問い」となる「前提」が話題に上がって…

プロの文章に学ぶ「です」と「ます」の「あ・うん」の呼吸

文章展開というのは「前提」と「焦点」が繰り返されるもの、一定の「問い」を示してそれに「答え」ていくものだと、このブログでは繰り返し説明してきました。 たとえば、 Ⓐ私は、正直言って、呼ばれたから田辺家に向かっていただけだった。Ⓑな―んにも、考え…

形式名詞や形式動詞が日本語ではなぜ多用されるのか   「です」と「ます」の使い分け

このブログで何度か取り上げて説明していますが、日本語の文というのは、たった3種類しか存在しません。 Ⓐ薄っぺらのボストンバック、北へ北へと、向かった。 動詞述語文 Ⓑ人は悲しい。 形容詞述語文 Ⓒ長崎は今日もどしゃ降りの雨です。 名詞述語文 そして…

「前提」と「焦点」 それは繰り返される主題展開

テレビドラマなんかで、作家が机の前で原稿を書こうとしていて、最初の出だしがなかなか思いつかなくて苦悩している場面を見ることがよくあります。 「最初さえうまく書き始めることが出来たら、後は流れるように進めることができるのに」そんなセリフが聞こ…

通販番組でここぞというときに使われる「分裂文」 最後に提示される指示対象

引き続き、今回も「のだ」に関連する名詞述語文を考察していきたいと思います。 名詞述語文には、「分裂文」と呼ばれる特殊な文が存在します。 動詞述語文や形容詞述語文を名詞述語文に変換させた表現なのですが、たとえば、 Ⓐ裕子が、トランペットを手に入…

名詞化とはどういうことか? 「要するになに」「言い換えればどういうこと」

前回のブログでは、文末に「のだ」をつけて表現するには一定の条件が必要なのだということを説明しました。 「のだ」を使う場合は「前提」が必要となり、その前提の答えとなる「焦点」に対して「のだ」は付随するんですね。 今回はその「のだ」が文法的にど…

「のだ」とはなにか? そこに答えがあるのです

日本語の文は基本的に述語に助動詞が足されて終わるのですが、ときに、「のだ」「のです」という言葉で括られる場合があります。 この「のだ」という形式は非常に頻繁に使われます。 「買ったんです」の「んだ」も「のだ」とまったく同じ意味合いで、話し言…

助動詞「だ」が付くことではじめて文となる

日本語の文のタイプは、動詞述語文、形容詞述語文、名詞述語文と、わずか3種類に限定されています。 それぞれの述語は「統叙」という機能を持ち、前に並ぶ文の成分を最後にまとめ上げるんです。 たとえば、 雨が降り出したので、裕子とパシフィックホテルに…

現在形と完了形を上手に使い分けることで文章が単調になることを回避する

日本語の文は述語が統一してるという原理をこのブログでは繰り返し伝えてきました。 たとえば「桜の花が公園に咲く」という文の場合、「桜の花が」と「公園に」という成分が述語「咲く」によって統一されています。 そしてこの文を「桜の花が公園に咲くね」…

吾輩は猫ではある  少しソフトな表現で

ではあるのだけれど 夏目漱石の小説のなかに「吾輩は猫である」という著名な作品があります。 漱石はなぜ「吾輩は猫だ」とせずに「猫である」というタイトルにしたのでしょうか。 「である」と「だ」という言葉は繫辞(けいじ)と呼ばれていて、主題と述語を…

連体助詞「の」を意識することで曖昧な表現をさけることができる

膠着語 日本語におけるコトバとコトバとの関係を示す方法。それは、助詞や助動詞を使ってつなげていくという手段です。 いわゆる膠着語(こうちゃくご)と呼ばれるもので、文字どおり膠(にかわ)を使うようにペタペタと言葉をつなげていくやり方なんですね…

語順にこだわれば 流れるような読みやすい文を書くことができる

日本語と英語の違い 言語博士の金谷武洋氏は、日本語と英語の発想の違いを次のように説いています。 「日本語は人間を表すというよりも、自然中心の言語表現が多くて、逆に、英語は人間の行為をせっせと表現する。」 つまり、意図を持った行為として言語表現…

「親を頼る」か「親に頼る」か?

文学的な表現 ときおり、小説の物語に出てくる異質な表現、それは、「文学的な表現だね」などと、よく言われます。 実際に読んでいて、「あれ、これって文学的な描き方だな」と思わされることも少なくありません。 独創的な発想で描かれた、その作家の表現を…

外延と内包  交互に繰り返し表現しながら文章は展開されていく

対立概念 「ずいぶん抽象的だな」とか、「もっと具体的に」といった言葉を聞くことがよくあります。 具体⇔抽象、こういった対立概念は他にも、絶対⇔相対、普遍⇔特殊、主観⇔客観、といったように、いくつにもみることができます。 これらの使い分けはビジネス…

文章を構成する対比概念  その対比を巧みに描くことが出来れば文章は踊り出す

自然と人間 「踊る文章」、作家の井上ひさし氏は、自然と人間との対比が見事に描かれている文章をこう呼んでいます。 自然と人間とを同時に捉えるということ。 自然の細やかな変化やその美しい現れを人間との対比において巧みに描くことができれば、そのとき…

繰り返しをさけることで複文はリズム感をもって流れ出す

中立法 文章を構成している一つひとつの「文(センテンス)」。 句点「。」から句点「。」までの単位を「文」とするなら、主語と述語が一つずつしかないという単純なものはほとんど見られません。 複数の主語と述語が組み合わさって、複雑な「複文」として書…

あなたの「声」を読者に届ける文章の書き方

混用 私たちが文章を書くとき、その文体のスタイルというのは、丁寧形(です・ます)、普通形(る・た)といったように、大きくふたつに分けることができます。 少・中学校の作文の授業では、ふたつのタイプの文体を混ぜ書きすると、「統一しなさい」と赤ペ…

点描文体  文章にリズム感をもたらすための「緩急」とは

最後にくる言葉 日本語の文体において、読み手が最も注視するのは文末です。 なぜ注視するのかというと、文末というのはもっとも重要な情報が含まれているために焦点化されやすいからなんですね。 また、日本語というのは語順が決まっていて、最後にくるのは…

尻尾のはなし ③テンス  彩色された文章

過去の話か それとも 尻尾のはなしシリーズ、3つ目にご紹介するのは、「テンス」というカテゴリーになります。 話し手が話す事柄が過去に起きたことなのか、それとも、これから起きるのか、といったことを区分する文法手段がここでいう「テンス」の概念です…

尻尾のはなし ②アスペクト 「地」と「図」のバランス

ケイゾク 前回の記事では、「ボイス」と呼ばれる出来事における書き手の立場を表す概念について考察しました。 「する・させる」というように能動的な立場をとるか、それとも「れる・られる」といった受動的な立場をとるのかといった違いです。 引き続き、文…

尻尾のはなし ①ボイス それは自分の意見か世間の声か

二者択一 世に出ている日本語文法の入門書のたぐいというのは、ピックアップされている重要項目がほぼ共通しています。 そこでは、①ボイス②アスペクト③テンス④ムード といった4項目が基本として構成されているんです。 ブログで記事を書くときでも、自分の…

視点  読み手の共感を得るための描き方とは

感情移入 小説を大雑把に区分けすると、一人称視点の小説と、三人称視点の小説に分けることができるのではないでしょうか。 ここでいう視点とは、つまり、物語が誰からの目線によって語られているかということなんです。 対象をどこから見つめているのかを表…