文章のリズム
前回の記事で、日本語の動詞というのは名詞的性格を秘めているという話をしました。 たとえば、ひとつの視点として、動詞の他動詞と自動詞の区分に注目して見てみると、理解しやすくなると思います。 まず英語の場合、文の主要語は主語であり、その後すぐに…
日本語の核となっているのは述語であり、補足する構成素が述語の補語として加わり、次々と意味を限定していきます。 「述語の統叙」と呼ばれるこの働きは、述語の優位性を示していて、日本語の中心に位置するのが述語であることを裏付けています。 英語とは…
物事を具体的に、直接的に表現する働きをそなえた副詞を、文法用語で擬音詞(オノマトペ)と呼びます。 円顔といえば「ふっくら」、血が垂れるといえば「ぽたぽた」で、鶏といえば「コケコッコー」といった感じでしょうか。 オノマトペを使った副詞表現は、…
歯切れのよいスッキリした文章を書くのに最も有効的なのがパラレリズムによる繰り返し表現です。 「見たり、聞いたり、試したり」とか、「北は北海道から南は九州まで」といった表現は口調がよく、リズムも感じとることができます。 大ベストセラーとなった…
国語におけるリズム形式の美調とはなにか、国語学者の時枝誠記の著書である「国語学原論」のなかに、詳しく述べられている箇所があります。 リズム形式というと、一般的には音声の強弱における構成がイメージされます。 タン、タ、タン タン、タ、タン タン…
文章展開というのは「前提」と「焦点」が繰り返されるもの、一定の「問い」を示してそれに「答え」ていくものだと、このブログでは繰り返し説明してきました。 たとえば、 Ⓐ私は、正直言って、呼ばれたから田辺家に向かっていただけだった。Ⓑな―んにも、考え…
中立法 文章を構成している一つひとつの「文(センテンス)」。 句点「。」から句点「。」までの単位を「文」とするなら、主語と述語が一つずつしかないという単純なものはほとんど見られません。 複数の主語と述語が組み合わさって、複雑な「複文」として書…
最後にくる言葉 日本語の文体において、読み手が最も注視するのは文末です。 なぜ注視するのかというと、文末というのはもっとも重要な情報が含まれているために焦点化されやすいからなんですね。 また、日本語というのは語順が決まっていて、最後にくるのは…
言葉の響きと文章の調 文章読本としては異例のロングセラーとなった「日本語の作文技術」。 著者である本多勝一氏はその本文のなかで、文章表現における巧みなリズム感の必要性を強く説かれています。 本多氏によると、人は本を読むとき目で活字を追いながら…
たったひとつしかない係助詞 「は」 わたしたちが日本語で文を書こうとするとき、その語順は比較的自由に並べることができます。 英語の場合ですと、主語は原則として必ず文頭に置かれ、それに合わせてbe動詞や一般動詞の選択がされることになります。 つま…
縦と横で織りなされるセンテンス 日本語のセンテンスは単文と複文に分けられるのですが、述語がひとつの文が単文、ふたつ以上の述語が組み合わされた文が複文です。 たとえば、 Ⓐヒロシはウワサを聞いた。 という文をひとつの単文だと捉えた場合、 Ⓑヒロシは…
早く問題の核心へと 仮に、名前も知らない人の論文やエッセイをあなたがこれから読もうとしているとします。 その文章の書き出しの印象は、まさに、初対面の人に会ったときの第一印象と同じような感覚がするのではないでしょうか。 たぶん、「魅力的な書き出…
前回に続き、文章表現の上達を目指して読み漁った本の中から、非常に有益だったと感じた一冊をご紹介します。 【「悪文」 岩崎悦太郎 編著】 伝わる文章の作法をテーマに、8人の著者の執筆による個々別々の章で編成された異色の文章読本です。 悪文 伝わる…
ちょうど3年くらい前にブログを始めたのですが、出来上がったものを読んで愕然としたのを覚えています。 タドタドしいといいますか、言葉足らずといいますか、とにかく読めたもんじゃなかったのです。 今もたいして進歩していないのですが、なんとなく助詞…