錦市場  至高の食材に出会える 京の台所

道幅3メートルほどの両側に、京野菜や川魚・湯葉・漬け物など、京都ならではの食品を扱う店が並ぶ「京の台所」と呼ばれる錦市場。
現在では、小売りだけではなく、店舗の一部を改装して自前の食材がその場で食べられるお店が増えてきています。買い物だけではなく、食事も楽しめるようになったんですね。

f:id:kouhei-s:20191201122121j:plain

洛中の真ん中を通る「錦小路通り」。その高倉通りから寺町通りまでの390メートルの間に140店ほどが並ぶ錦市場は、昔とは違い、地元の主婦や料理人よりも、国内外の旅行者の方で毎日埋め尽くされています。いろいろと文句をゆう風潮もありますが、商店街は賑やかなのがやっぱりいいですね。

その本格的な始まりは江戸時代初期からですが、中魚屋町などの地名が残っているように最初は魚市場でした。この地域は京都の良質な「錦の水」と呼ばれる湧き水に恵まれていました。錦市場の東の突き当りにある錦天満宮では、今でも豊かな水が湧く井戸を見ることができます。

この井戸の水源は、各お店の冷蔵用に使われていて、魚屋さんなどでは常に豊富な水を店の床に流されています。ですので、錦市場には魚屋が多いのに生臭い臭いが全然せず、清々しい水のにおいがするのです。

f:id:kouhei-s:20191201122224j:plain

*鳥居の存在を優先して建てられたビルディング

錦市場の商品は、京都という風土とやはり密接にかかわっています。
鴨川の流れから生み出された様々な伏流水、さらに山や盆地に降り注いだ雨が地下に染み込み、街なかの下に豊富な地下水をため込みます。水道水よりも良質な地下水は、先に述べた食材や、和菓子・豆腐・京料理などの食文化だけでなく、茶道や友禅などの伝統文化も支えてきたのです。

その文化の中で、京都の味として代表的とされるものは、やっぱり漬け物ではないでしょうか。
すぐき・千枚漬け・しば漬け・味噌漬け・粕漬け・糠漬けなど多くの種類がありますが、これらは京都で「聖護院かぶら」や「堀川ごぼう」など、良質の野菜が産出されることと深く関りがあったからです。

「京の底冷え」といわれるぐらい冬の気温が寒冷なために、よく乾燥するので発酵過程で雑菌が発生することがありません。また、紫蘇・山椒・生姜・唐辛子などの薬味を、巧みに取り合わせる技術の研究が、気の遠くなるほどの歳月をかけて、行われてきたのです。

f:id:kouhei-s:20191201122410j:plain

湯葉・高野豆腐・干し椎茸・干しぜんまい・素麺などの、茶懐石や精進料理の材料となる保存食材も京都で発達しました。たけのこ・松茸・わらび・木の芽・じゅんさいなど京都郊外で採れる食材も、まさに一級品といっても恥ずかしくありません。

そして、よそから運ばれて京料理の主役となったものに、スッポンとハモがあります。
「月とスッポン」といわれてたくらいに、むかしはけっして上等な食材ではなかったのですが、工夫を重ねて関西の代表的な料理といえるまでに発展しました。とくに、小骨が多くカマボコの原料になっていたようなハモを、骨切りして食べられるようにした技法は、世界にも類をみない料理法として有名になったのです。