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くっつき張り付き その名詞を動詞に変えてしまう「する」

サ行変格活用という独特の活用変化をする動詞「する」。

この「する」という言葉は、日本語の動詞の親骨ともいえる存在なのですが、和語だろうと、漢語だろうと、お構いなしに、あらゆる名詞にくっつき張り付き、その名詞を動詞に変えてしまうんですね。

結婚する」「離婚する」「食事する」「後悔する」「教育する」

国立国語研究所の調査によると、国語辞典に載っている動詞のうち、この「××する」という複合動詞は、なんと、全体の68%をしめているということなんです。

さらに、同研究所が行った朝・毎・読の3大新聞の語彙調査でも、記事の中で使われている動詞が同じような占有率だったことが明らかになっているんですね。

全動詞のうちの三分の二以上が「××する」型なのですから、これは、驚きです。

なぜに、このような状況になっているのかというと、日本語が持つ名詞の数に対して、動詞の数というのは圧倒的に不足しているという理由がその背景にあるんです。

日本人は漢語に「する」を付けて、とかく、品不足になりがちな和語の動詞の数を補ってきました。

そして、新しい動詞作りを行うときには、積極的に「漢語+する」のパターンを使用するようになったのです。

でも、どんな名詞であっても、「する」が付けば動詞になるというわけではありません。

たとえば、名詞を下のようにグループ分けしてみます。


Ⓐグループ

恋愛 計算 婚約 料理 勉強 卒業 就職 運転 販売

Ⓑグループ

商品 ビル 映像 書類 社会 国営 季節 世界 地球


Ⓐグループの名詞は「動作名詞」なので、「する」を付ければ、その場でたちまちサ変動詞に早変わりします。

ですが、Ⓑグループには動作名詞は含まれてないので、「する」を付けることは出来ないんです。

その名詞が動作名詞かどうかは、その名詞に「行う」を付けて見ると簡単に見分けることができます。

「商品を行う」「書類を行う」「季節を行う」✖

なんて、動作名詞でなければ、その表現はどう考えてもおかしな日本語になってしまうからです。

Ⓑグループの名詞をサ変動詞にするには、なにより先に「― 化」を付けなければならないのです。

「商品化する」「映像化する」「国営化する」

ただ、漫画やエッセイなんかで、面白おかしく表現するため、動作動詞でもないのに「する」を付けた言葉を目にすることもよくあります。

「お嬢さんする」「主婦する」

「こっちだって、青春してんだ」(1・2の三四郎)

「いや~、ダビッドソンしちゃったな俺たち。かっちょ悪い」(傷だらけの天使)

たぶん、法則性を無視したその破格なところがなんとも痛快で、読み手に強い印象を残すのでしょう。