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知恩院  大晦日につかれる巨大な鐘と日本最大の三門

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アインシュタイン博士の実験

1922年、日本を訪れていた物理学者のアインシュタイン博士は、実証実験のために、知恩院の鐘の中に潜り込んでいました。

日本最大級の大きさといわれる知恩院の梵鐘。一度つくと、その音の余韻は20分近く続きます。

ですが、鐘の真下の中に立つと、不思議なことにその音が消えて聞こえなくなります。

その話を聞いた博士は、みずから鐘の下に立って実験したいと希望しました。

そして、鐘の下では音波が相殺されるため、音がかなり小さくなることを実証し、おおいに満足して帰国したのです。

この巨大な鐘は、口径2メートル74センチ、高さは3メートル33センチもあります。

大晦日につかれる除夜の鐘の光景は有名ですが、鐘をつくのはかなり大変で、総勢17人で大きな掛け声とともに、呼吸をひとつにしてつきます。

タイミングをあわせるのがかなり難しいため、一週間くらい前から公開予行練習が行われるのでした。

屋根瓦の曲線が独特の三門

そして、知恩院といえばやはりこれも日本最大の三門です。

徳川秀忠の寄進によって、1619年から3年かけて造営。

屋根瓦の曲線が独特の美しさを表現していて、その威容に圧倒されます。

三門とは、仏教における三つの解脱の境地で、「空・無想・無作」の三解脱門の略称ですが、三門はふつう禅宗の寺院にあるもので、浄土宗の知恩院にあるのは珍しいことなんですね。

その高さは24メートル、横幅50メートル、屋根瓦の数は7万枚という、木造建築の門としては世界最大の大きさを誇ります。

この規模の寺門を造るには相当な技量、労力、資金が必要となるために、完成にたどり着くまでにやりきれない悲劇も起こっているんですね。

工事を指揮した棟梁・五味金右ヱ門は、予算超過の責任をとって夫人と一緒に自刃してしまったのです。

三門楼上には今でも、その金右ヱ門夫妻の像と白木の棺が納められています。

並みならぬ決意をもってこの偉業を成し遂げた名工夫妻に敬意を払って合掌したいと思います。